安全衛生教育とは
安全衛生教育とは、労働安全衛生法「第六章 労働者の就業に当たつての措置」の筆頭に記載されている(安全衛生教育)第59条第1項の「雇い入れ時の教育」、同条第2項の「作業内容変更時の教育」、同条第3項の「特別教育」、第60条の「職長教育」、第60条の2の「安全衛生水準向上教育」をいいます。
- 雇い入れ時の教育
- 作業内容変更時の教育
- 特別の教育
- 職長教育
- 安全衛生水準向上教育
このうち安全衛生水準向上教育は、事業者に対して実施の努力義務が定められています。その他の安全衛生教育は、事業者に対して実施が義務づけられています。例えば、特別教育は次のとおりです。
「事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。」
なお、事業者とは労働安全衛生法第2条に「事業を行う者で、労働者を使用するものをいう。」と定義されています。
したがって、事業を行う者で労働者を使用するものは、労働者に対して安全衛生教育を実施する必要があります。すなわち、安全衛生教育の実施者は労働者を使用する事業者です。安全衛生団体の講習会に参加するのは次善の策で、本来は事業者が労働者に対して実施するものです。要するに、事業者は、労働者に危険・有害作業をさせるのならば、自ら安全衛生教育を実施しなければならないのです。
「講習会に行って受講して修了証もらってきて」等と安全衛生教育を他者に丸投げすることは、本来の法の精神ではありません。
また、実際の作業における危険性・有害性ならびにそれらに対する措置について、最も知識と経験がある者は、誰あろう実際の現場の状況をよく知る事業者です。実際の現場の状況に精通している事業者が、実際の現場の状況に応じた具体的な内容の教育を実施することで、実効性の高い安全衛生教育の実施が可能です。特に実技教育やグループ討議においては、事業者が実際の現場の状況を想定した実効性のある実技教育を実施することが、とても重要です。